歯のコラム

【歯を守りたい人必読】歯を失った時に絶対に知ってほしいこと Part1


歯を失った時に絶対に知ってほしいこと Part1

こんにちは。大阪難波駅から徒歩3分にある道頓堀キムラ歯科クリニックの院長の木村沢郎です。道頓堀川沿いにあるので、医院の窓から道頓堀川が見えるのですが、天神祭の船渡御の「どんどこ船」が行われていました。(7月24日に撮影)

太鼓の音とともに何艘もやってくるので、医院に居ながら天神祭の始まりを実感していました♫


シニアの健康での後悔ナンバー1は、「歯」について!?

今回は、歯を失った時の治療について絶対に知っておいて欲しいことについてお話をしたいと思います。

みなさんは、「あの時にこうしておけば」と後悔していることはありますか?一般的には、取り返しがつかないことに対しての後悔が多いようです。タイムマシンがあれば、あの時の自分に教えてあげたいことがある人もいるかも知れないですね。

少し古い情報になりますが、雑誌PRESIDENTのシニア1000人に聞いた「健康の後悔トップ20」について紹介したいと思います。これは、55歳から77歳の方を対象にした健康での後悔についてアンケートをとったものになります。

60歳を境に、「歯の定期検診を受ければよかった」が1位になっています。

これは入れ歯を使用している方が増えてくる年代だからかも知れません。

70代以降で、部分入れ歯の方の割合は38.2%、総入れ歯の方は14.7%(参考:平成 28 年歯科疾患実態調査 厚生労働省)になります。部分入れ歯と総入れ歯を併用されている方もいらっしゃるので、その合計が入れ歯を使用されている訳ではありませんが、70代以降の方の半分近くの方が入れ歯を使用していることになります。

「食事のたびに、入れ歯の隙間に食べかすが詰まるんです」

「入れ歯の部分の歯茎が痛くなります」

「入れ歯の方では噛みにくいですね」

など仰る方も多くいらっしゃいます。入れ歯で食事をしてみて改めて、自分の歯で噛めることの大切さに気付く人が多いのかも知れないですね。


45歳までに1本でも歯を失っている人は、70歳には8本歯を失っている!?

では、実際に何歳ごろから歯を失うのでしょうか?

これは平成28年に厚生労働省から発表された歯科疾患実態調査の年齢と残存歯数の平均数のグラフになります。

大人の歯は親知らずを除くと28本あります。この28本を生涯保ち続ける人はあまり多くありません。

45歳から50代にかけて初めて歯を1本失い、70代になる頃には計8本の歯を失っています。

もし、45歳までに歯を1本以上失っている方は、このグラフよりも早く歯を失っていく可能性が高いと言えます。

仮に失っている8本が奥歯の場合は、上下左右の奥歯2本分ずつない状態で、上下に部分入れ歯を入れて食事をしている状態になります。

その10年後の80代になると、残っている歯は本来の半分近くの15本ほどになります。

奥歯を失った場合は、噛む力がそれよりも手前の歯に強くかかることになります。その結果、奥歯からドンドン歯を失っていく場合があります。(パターン1)

歯周病を伴っている場合は、奥歯がなくなることで下の前歯に上の前歯が突き上げられることを繰り返されます。上の前歯の隙間が大きく開いてきたり、抜けてくる場合(パターン2)があります。

「最近前歯の隙間が広がっている気がする・・・」

と仰る方は、もしかしたらこのパターンに移行している途中かもしれません。

この様に歯を失っていく、負のサイクルを止める方法があります。

1つ目のポイントは、虫歯と歯周病予防と早期発見を行うことで、歯を守ること。

2つ目のポイントは、治療をする時には次の治療介入が少ない治療方法を選択すること。

3つ目のポイントは、どうしても歯を失ってしまう場合には、歯を失った時にあなたにとっての最適な治療方法を選ぶこと。

「虫歯と歯周病予防と早期発見を行うことで、歯を守ること」

歯医者さんで定期的に通われていても、虫歯が大きくなってしまっていた経験や歯医者さんに行くたびに抜歯になった経験をお持ちの方がいるかも知れません。

私も診療をしていて、その様な経験をお持ちの方に出会うことがなんどもあります。

当院では、ホワイトニングと自費クリーニングで日本260医院以上も加盟している「ホワイトエッセンス」に加盟しているため、普段は違う歯科医院でメインテナンスをされている方のお口の中を診察することがよくあります。当院では全ての方のお口を歯科医師である私が確認してから、資格試験を通過した歯科衛生士がホワイトニングやクリーニング、カウンセリングを行います。

「先月歯医者さんで歯石を取ってもらいました」、「定期的に歯医者さんで診てもらっています」とおっしゃる方の半分近くの方は、虫歯や歯周病治療が必要な方や、抜歯適応の親知らずをお持ちの方がいらっしゃいます。

メインテナンスの時に歯科衛生士さんが虫歯や歯周病に気付いていない場合や、強拡大の拡大鏡を使わずに肉眼だけで診ているためかも知れませんが、非常に勿体無く感じます。

虫歯予防や歯周病予防、お口のトラブルが出る前に早期発見を期待されて歯医者さんに通っている方に、歯科医師の一人として申し訳なく思う瞬間です。

「治療をする時には次の治療介入が少ない治療を選択すること」

治療をする時には、その歯の次の治療がいつ頃になる可能性が高いのか、その時にはその歯の抜歯の可能性が高いのか、神経の治療が必要な可能性が高いのかについて、歯医者さんからしっかりと説明をしてもらってください。

特にその歯にとって初めての神経の治療(初回の根管治療)のときに、世界標準の根管治療をするかどうかで、その歯の寿命は大きく変わります。残念ながら日本の根管治療の成功率と世界標準の根管治療とでは、明確な大きな差があります。

最低でも、ラバーダムを使用した根管治療を受けてください!これだけでもその歯の寿命がものすごく変わります。


また、銀歯とセラミックでは平均的な寿命は違いますが、それだけはなく多くのことを複合的に考えて治療方法を選ぶことが大切です。
例えば歯の質が残っている部分の虫歯治療に対しては、寿命が長いセラミックインレーでの治療よりも、最小限のダイレクトボンディングで精密に治療をする方が、次の治療を小さい範囲で抑えることができる、虫歯の原因が細かいヒビが入ることで起こっている、「マイクロクラックが原因の虫歯」の場合は、歯を割れる方向に加わるインレータイプではなく、力を分散するためにアンレータイプを選択するなど。

虫歯や歯周病のリスクは、人によって、歯によって大きく異なります。その方の虫歯、歯周病、力のリスクを分析し、次の治療介入のタイミングを予測した10年、20年先を見据えた治療計画を立ててくれる歯医者さんが、「生涯のかかりつけの歯医者さん」として安心して任せることができる歯医者さんと思います。

「歯を失った時にあなたにとっての最適な治療方法を選ぶこと」

歯根が割れている場合や、虫歯で歯が大きく溶けている場合、歯周病で歯が大きく揺れている場合には、歯を残すことが難しく、抜歯の診断になります。

そんな歯を失った時の治療の選択で、その後の歯の残る本数が大きく左右されることがあります。なんでも噛める健康なお口の健康を保つためには、歯を失った時にあなたに最適な治療を選べるかどうかが本当に大切です。

抜歯後の治療について勉強されたかたは、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの方法があることをご存知かもしれません。

適応される場合は限られますが、それ以外にも方法があります。

それは、「矯正治療」「歯牙移植」です。

抜歯を伴う矯正治療を行う場合と同じ様に、抜歯診断された歯を矯正での抜歯をする歯とした、矯正でのスペースを閉じていく治療です。この場合は、歯を削ることもなく、自分自身の神経が残っている歯を利用できる(神経の治療をしていない場合)、ベストな治療の一つと言えます。

もう一つの「歯牙移植」とは、移植のドナーとなる自分の不要な親知らずなどがある場合が適応になります。移植される部分の大きさと、ドナーの歯の大きさに大きな問題がない時は適応になります。「歯牙移植」では歯を抜歯するため10代の一時期を除き、基本的には神経の治療と被せ物の治療が必要になります。しかし、自分自身の歯使えるため、かみごたえを感じることができる「歯根膜」を保存することができる、ベターな治療と言えます。

もう少し細かいお話について、次回させていただきたいと思います。

長文お付き合いいただき、ありがとうございました。

道頓堀キムラ歯科クリニック

院長 木村沢郎

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