左上12ジルコニアセラミッククラウン/左上2挺出/デュアルホワイトニング＋クリーニング
こんにちは。大阪難波にある「道頓堀キムラ歯科クリニック」の院長の木村沢郎（キムラサワオ）です。
今回左上１２の被せ物の虫歯治療を行った症例についてお話をしたいと思います。
40代男性の患者様、「被せ物の隙間と歯の黄ばみが気になる」ことに対して、デュアルホワイトニングとクリーニングで歯の黄ばみを改善し、白くなった歯に合わせた左上12のセラミック治療を行いました。
今回の左上１２の治療のポイントは、以下の３つです。
①左上１２の根が膿んでいること（根尖性歯周炎があること）
②左上２は虫歯が歯茎の中まで深く進んでいること
③右上１２は大きな虫歯がないのに、なぜ左上１２だけが神経の治療をすることになったのかという、原因を追求すること
「①左上１２の根が膿んでいること（根尖性歯周炎があること）」
過去の根管治療でラバーダム防湿下などの無菌的な根管治療が出来ていなかったことや、被せ物が銀歯であるため適合が悪く上部からの細菌の侵入により、根の奥が膿んできたことが予想されます。
初めての神経の治療をされた時に、虫歯細を取り残さずに、細菌を根管内部に入れない治療とセラミッククラウンなどの上部から細菌が入り込みにくい治療が出来ていれば、膿んでくることもなかったのかも知れないですね💧
根の奥が膿んでいる大きさは７mm前後ほどの大きさですが、過去の治療で根管内を触っていない部分があり、根管の拡大も不十分なため、根管治療で治癒する可能性が高いと考えます。
実際に根管治療をすると、左上１の根管内の汚染は強く、汚染部を取り除くと根尖の拡大が必要でした。バイオセラミック系シーラーとMTAで根管充填を行いました。
もしこの部分に、違和感などの症状や根の部分に膿の出口（サイナストラクト）が出来た際は、マイクロスコープ下での歯根端切除を行うことも想定しています。
「②左上２は虫歯が歯茎の中まで深く進んでいること」
歯茎の奥まで虫歯が進んできる歯に被せ物をする場合は、被せ物との隙間が残ったり、噛む力に耐えれずに、土台から外れる可能性が高くなります。
歯茎よりも上に歯を出すことが長期安定のために大切です。1.５mm～２mm程度歯茎よりも上の歯の部分を確保できると、長期安定できるというデータがあります。
今回は、左上２の部分矯正での挺出（エクストルージョン）を行い、歯肉の形態修正を行い、左右の審美的なバランスを考えた治療計画を立てました。
矯正治療で歯が動くように、埋まっている歯も引っ張りあげることが出来ます。
具体的な方法として、ワイヤーで作ったフックを歯の中に埋め込み、そのフックと仮歯の上の方ではめ込んでいるワイヤーを、矯正用のゴムで引っ張ります。ゴムの力が弱まる２～３週間ごとにゴムを交換していきます。歯が伸びてくると同時に歯茎も伸びてくるので分かりにくいですが、フックとワイヤーとの距離や横の歯との高さを比較して、歯を引っ張っている長さの基準にします。
今回は、挺出してから７週間後に目標のところまで引っ張れました。歯を動かした後は、必ず後戻りがあります。挺出した場合は、３ヶ月ほど固定して待つと、後戻りがほとんとなくなると言われています。
埋まっている歯を引っ張り出す時に、一緒に歯茎も付いてきます。その付いてきた歯茎の形を整えることも必要になります。外科的に歯肉を触った場合は、３ヶ月ほど待つことで歯肉が安定します。
今回は挺出が完了したと同時に歯肉の形態修正を行うことで、挺出での後戻り期間と歯肉の治癒期間を一緒にすることでトータルの治療期間の短縮を行っています。
またこの期間に、ワイヤーを除去しレジンコアを築造し仮歯を装着、ホワイトニングとクリーニングを行っています。
クリーニングで着色をしっかりと除去した後に、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングを組み合わせる「デュアルホワイトニング」を行うことで、短期間に目標の白さまで到達しています。
目標まで白くした後は、後戻りを防止するためにホームホワイトニングの継続と、オフィスホワイトニングで色の定着を行なうことで、目指した白さを維持することが出来ます。
「③右上１２は大きな虫歯がないのに、なぜ左上１２だけが神経の治療をすることになったのかという、原因を追求すること」
最初に口腔内を診た時に、ギリギリと歯を横に動かした時に左上２が下の前歯にガツンガツンと突き上げらるように当たっていました。左上２の銀歯の内側の厚みが分厚く、下の歯が引っかかっている状態でした。
上の２番目の歯に横向きの力が大きく加わる場合は、歯や根が割れたり、被せ物が外れたり、虫歯や歯周病が知らないうちにドンドン進んだりすることが多くあります。
仮歯で下の前歯との噛み合わせを確認し、下の前歯も少し調整してセラミッククラウンを作製しています。
左上１２は神経を取っている失活歯なので、歯の質があまり強くありません。寝ている時に歯ぎしりによって、大きな力がかかる可能性が高い患者様なので、ナイトガード（ハードタイプ、スタビリゼーション型スプリント）を作製し、力のコントロールを行っています。
定期検診では、左上１２に加わる横向きの力を確認していきます。引っかかりが強い時は微調整を行うことで、長期間安定する口腔内環境を整えていきます。
・左上１２ジルコニアセラミックセット
仮歯（プロビジョナル）のセットをしたときの形が、いくつか不自然な部分が出来てしまったところを、技工士が自然な美しい歯になるように修正したセラミックを作っていただいています。
細かい話になりますが、光っている矢印の部分はもう少し内側（近心方向）へ寄せることで、左右の歯の隆線のバランスを合わせることで自然な歯に近づきます。右上２が少し前向きに向いているため、それに合わせて左上２も前向きに修正をすることで、全体のバランスが整って見えます。他にも沢山の工夫とテクニックを使って、審美的で機能的なジルコニアセラミッククラウンを作製していただいています。
SUNSの松山真也さんに作製していただきました。
患者様も「本当にキレイ！」と、とても満足されていらっしゃいました。
もし、「歯を抜かないといけない」、「自然なセラミックの歯での治療を考えている」、「ホワイトニングもしたいけど、どういう順番でしたらいいか分からない」方がもしいらっしゃったら、いつでもお気軽にご相談ください。
長文お付き合いいただき、ありがとうございました。
道頓堀キムラ歯科クリニック
院長 木村沢郎
紹介している症例はあくまで患者様固有の症例ですので、実際には患者様によって治療期間や治療法など個人差があります。
【年齢】
40代男性
【治療部位】
上顎前歯（左上１２）
【治療内容】
・歯の被せ物をセラミックなどの白い素材で治療します
歯の被せ物（レジン前装冠）の虫歯治療
ラバーダム下での根管治療
左上２の部分矯正による挺出（１～３週間ごとにゴム交換）
歯肉形態修正・固定（７週間）
ジルコニアセラミッククラウン作製（左上１２）
・デュアルホワイトニング：ホワイトニング剤とホワイトニング専用照射器を併用して歯を白くします。
・クリーニング：歯石取り（スケーリング）、フロッシング、PMTC、舌クリーニングなど
【治療期間】
根管治療・仮歯作製：2回
挺出：5回 7週間＋固定期間3ヶ月
ホワイトニング・クリーニング：治療内容によって異なります
6回、4ヶ月 ホームホワイトニング、オフィスホワイトニング
治療期間：6ヶ月
【費用】
自由診療
ジルコニアセラミッククラウン：168,000円/1本（税込）
挺出（エクストルージョン）：78,000円（税込）
ホームホワイトニング・オフィスホワイトニング・クリーニング
：ホワイトニングエスコートコース＋パーソナルチケット4
107,800円＋（税込）
【副作用・リスク】
歯ぎしりなどにより稀に破損する場合があります
銀歯に比べて厚みがあるため、歯を削る量が若干多くなります
いずれの被せ物も状態を維持するためには定期的なメインテナンスが必要となります
個人差がありますが、オフィスホワイトニング・ホームホワイトニング中や施術後に歯がしみる場合があります
クリーニング中に、知覚過敏の方は刺激を感じる場合があります
【医薬品医療機器等法（薬機法）に関する記載事項】
ホワイトエッセンス加盟院取り扱いのホームホワイトニング薬剤は国内未承認です
当院で個人輸入し、ご提供しています
国内には認可品の薬剤も存在します
生産国アメリカの法律上で国の認可が必要のない成分を使用しています
現在までに重大な副作用等の報告はありません
