歯周病治療

歯周病治療歯周病と言う言葉を耳にすることは多いと思いますが、歯周病の正しい知識をお持ちの方は少ないかもしれません。
歯周病は、歯周病菌が作る毒素によって歯を支えている骨がゆっくり溶けていく病気です。
歯周病はゆっくり進行するため、痛みなどの自覚症状が少なく、「歯磨きで血がにじむことがある」、「たまに歯ぐきが腫れることがある」、「口臭が気になる時がある」などの軽い症状で受診された場合でも、歯周病が進んでいる場合があります。
また、歯周病菌の作る毒素は血管に乗って全身の臓器へ届き、心疾患や慢性腎臓病、呼吸器疾患、早産・低体重児出産などの疾患と関連が報告されており、特に糖尿病とは大きな関連があります。
歯周病精密検査やレントゲン検査、口腔内写真撮影などの検査を行い、歯周病の状態を正確に把握した後に、その方の状態に合わせた治療計画を提案し、治療を行なっていきます。

歯周病の根本的な原因を解決
~チーム医療で歯周病に立ち向かう~

歯周病の根本的な原因を解決歯周病治療は、一般的な歯周病治療を徹底して行うことができるかどうかが、もっとも重要になります。
歯周病の治療とは、ただ歯石を取れば良いというわけではありません。歯科医師と歯科衛生士が患者様の歯周病を進行させている原因を明らかにすることが重要となります。
そのためには、歯周ポケット検査、プラーク検査、口腔内撮影、必要であればCT撮影などの詳細な検査を行うことが大切です。
患者様ごとの原因に合わせたオーダーメイドな歯周病治療の計画をたて、歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士がチームとなり治療を行なっていきます。
歯周病基本治療を行なったのちに、再度歯周病の検査を行います。
重症な歯周病には、歯周外科治療やエムドゲインやリグロスなどの歯周組織再生法を併用します骨移植を伴うGTRや歯周組織移植(CTGやCGF)などの歯周形成外科などの様々な治療法を用いて、これまでの歯科医学では抜歯に至っていた歯を保存することができる場合もあります。

歯を失う1番の原因、「歯周病」ってどんな病気?

歯を失う1番の原因、「歯周病」ってどんな病気?15歳以上の約80%が罹患しているといわれる歯周病。
痛みなどの自覚症状が出にくいため、気づかないうちに症状がどんどん進行していることがあります。
口の中には700種類くらいの細菌がいるといわれていますが、健康な状態であればその細菌自体には問題はありません。
しかし、不十分な歯磨きや甘い物の食べ過ぎなどによって歯と歯ぐきの間に細菌が溜まり歯垢ができると、細菌が増えて歯ぐきに炎症を起こします。
最近の研究では、歯周病が原因で、動脈硬化や心臓病、早産など全身に悪影響を及ぼすことがわかってきました。
正しい歯磨き、歯石の除去、定期的な歯科健診などが歯周病の予防法として知られています。

歯周病になりやすい人の特徴

歯磨きをきちんとしない
歯磨きは虫歯予防・歯周病予防の基本です。
食べたままの状態で何もせずにいると歯に歯垢が付着し、口の中で細菌が増殖していきます。
歯周病は生活習慣病。
まずはお口の中を清潔に保つ生活習慣がなにより大事です。
たばこを吸う
たばこを吸う人は吸わない人に比べて歯周病になりやすく、進行も速くなります。
さらに治療をしても治りにくいことも分かっています。
その主な原因は、「歯ぐきの血行が悪くなること」。
これにより、歯ぐきに酸素や栄養が十分に行き渡らず、歯ぐきの抵抗力が低下します。
抵抗力が低下すると、細菌と戦う白血球の働きが弱まり、唾液の分泌が抑えられてしまうため、歯垢や歯石が付きやすくなってしまいます。
歯ぎしり
歯は垂直方向(縦方向)の力には100kg位まで耐えられますが、歯ぎしりなど横からの力には弱く、歯周組織にダメージを与え歯周病を悪化させてしまいます。
歯ぎしりには「食いしばる」「カチカチとさせる」などの種類がありますが、最も悪いものが「歯を横にスライドさせる」タイプ。
日頃から歯ぎしりをする方は、早めに治すことが必要です。
糖尿病
糖尿病は「万病のもと」と言われていますが、最近では歯周病が糖尿病の合併症と考えられています。
糖尿病の患者さんが歯周病になると治療が難しくなる上、歯周病になると血糖のコントロールが悪くなるという悪循環をもたらします。
高血糖状態が持続することによって歯周病菌による炎症を起こしやすくなり、サイトカインの働きによって歯を支える骨が破壊される「骨吸収」が進みます。
逆に、歯周病があるとサイトカインが歯肉の毛細血管から血流にのって全身に運ばれ、インスリンの働きを悪くします。
歯周病は糖尿病を悪化させ、糖尿病は歯周病を悪化させるという負のスパイラルがあるのです。
慢性的な疲労
風邪をひくのと同じように、歯周病も疲労などにより体の免疫力が下がっている時に発症する病気です。
日々蓄積されていく疲労やストレスにより、常在菌である歯周病菌が増殖し、歯周病になってしまうのです。
言い方を換えれば、風邪をよくひいてしまうという人は、歯周病にもなりやすいということで注意が必要です。

どうして歯周病になるのか

どうして歯周病になるのか人の体には「常在菌」といって、体内に菌が棲みついています。
普通に過ごす分には問題はなく、健康で抵抗力があれば、健康に影響を及ぼすことはありません。
体だけでなく、口の中も同様に常在菌はあり、その中のひとつに「歯周病菌」があるのですが、中にはこの歯周病菌がいない人もいます。
その方には歯周病は発症しません。
とはいえ、歯周病菌があるからといってすぐに発症するわけでもなく、この歯周病菌に対して体が過剰な免疫反応を起こすことで初めて発症します。
歯周病菌を含むその他の菌が、口の中の不衛生などにより数がどんどん増えていくと、体の免疫力では対応できなくなり、歯周病菌に負けてしまうのです。
そうすると増殖した歯周病菌は一気に歯を攻撃し始め、歯を支えている骨まで溶かしていきます。

歯周病セルフチェック

チェックが1つでもある場合は歯周病の可能性がありますので、早期に受診をおすすめします。

  • 口臭が気になる
  • 朝起きると口の中がネバネバする
  • 歯磨きすると出血がある
  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • 歯ぐきが下がり、歯が長くなった
  • 歯ぐきを押すと血や膿が出る
  • 歯と歯の間に物が詰まりやすい
  • 歯が浮いたような感じがする
  • 歯並びに変化がある
  • 歯が揺れている

歯周病予防の第一歩は、歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去すること、歯がグラグラと動く場合は、歯の噛み合わせの調整などを行います。
歯周病が引き起こす、歯と歯ぐきのすき間の深さが改善されれば定期的な歯科健診で経過を観察していきます。
この基本治療で改善しない場合は、外科治療として手術で歯と歯ぐきのすき間の深さを少なくしていく治療や、溶けてしまった骨を再生させることがあります。

歯周外科治療・歯周組織再生療法

歯周外科治療・歯周組織再生療法歯周病治療を行う場合は、ブラッシングの質を上げること、歯周病の住処である歯石を取り除くことで、歯周病の原因である歯周病細菌の数を減らします。
そして、歯周病検査を行い、歯ぐきがどの程度健康になってきたかを判断します。
それでも歯肉の治りの反応が悪い部分を中心に、深い部分にある歯石を外科的に取り除きます。
必要があれば、歯ぐきの形を整え(切除療法)、歯を支えている組織の再生を促す薬剤を用い(歯周組織再生療法)、自分の歯ぐきを移植すること(歯肉移植)で、歯周病になりにくい環境を整えます。

歯周外科手術の必要性

歯周病が重症化すると、深い歯周ポケットが形成されます。
歯根を支える歯槽骨が吸収され、異常な骨の形になってしまうことすらあるのです。
歯周病の進行を食い止め、メンテナンスによって歯を長持ちさせるためには、歯周ポケットの除去や歯槽骨の形を整えるとともに、歯肉縁下の歯石を完全に除去することが必要です。
そのためには、フラップ手術と呼ばれる歯周病の手術が必要ですが、この手術は歯科医師の技術によってかなり差があります。
近年は、歯周病で吸収された歯槽骨を再生させる「歯周再生療法」という技術で医師の技術差を埋める方法が開発されています。

歯周再生療法
重度の歯周病で骨の吸収が見られる場合、適応症であれば歯周外科手術や「エムドゲイン」「レグロス」などの薬剤や骨移植などで歯槽骨を再生させることが可能です。
医学の進歩により、歯を支える骨の量を増やすことが可能になったのです。
自由診療となりますが、これまで抜かなければならないと言われていた重度の歯周病の歯でも、残せる可能性が大幅に増えました。
日本人の成人の約8割が何らかの歯周病を患っており、多くの患者さんが歯周病で苦しんでいることを考えると、歯科医療の分野では非常に重要な進展といえます。
治療を希望される方は、歯周病基本治療を受けた後、専門医による詳細なカウンセリングを致します。
歯肉退縮を治す治療
歯ぐきが退縮すると、それまで歯ぐきに隠れていた歯根の表面の象牙質が露出します。
象牙質が露出することで、審美的な問題だけでなく、知覚過敏(冷たいものがしみる)や根面虫歯(歯の根の表面の磨き方が悪いために虫歯になる)などの問題が発生することがあります。
一度退縮した歯茎は、通常、自然に回復することはありません。
しかし、歯ぐきや顎の骨の状態によっては、「根面被覆術(結合組織移植術)」という歯周外科手術で、後退した歯ぐきを元の状態に近づけることができます。
CTG(結合組織移植術)
結合組織は、3層(上皮組織、結合組織、骨膜)で構成される歯肉の組織です。
歯肉退縮や抜歯後に歯槽堤(歯を抜いた後にできる堤防)の陥没部分に上顎から結合組織のみを採取して歯肉を追加します。
CTGは、歯根の表面を覆う周囲の歯肉の厚みを増すことで、審美的に優れたクラウンを挿入することができます。
さらに、ブラッシングも楽になり、天然歯やインプラントも長持ちします。
CGF再生療法
インプラント治療では、金属製のインプラントを埋め込むために、十分な量の顎骨と歯肉が必要です。
しかし、実際の臨床現場では、骨や歯肉が足りず、インプラント手術を断念せざるを得ない患者さんが少なくありません。
そんな患者さんの救世主とも言える最新の再生医療が、CGFと呼ばれる方法です。
当院では、CGF専用の最新機器を導入し、多くの患者さまにご利用いただいています。
CGFの最大のメリットは、その安全性にあります。
自分の血液から成分を抽出して治療するため、感染症のリスクはなく安全です。
特殊な遠心分離機を用いて、組織の治癒・修復・再生を促進する血液成分を抽出・濃縮します。
骨補填材と混ぜることで、骨や歯茎を作ることもできます。
エムドゲイン(歯周再生療法)
エムドゲインゲルは、スウェーデンのビオラ社が開発した胚性組織を用いた歯周組織再生材料です。
主成分は、幼少期の歯の成長に重要な役割を果たすタンパク質です。
ゲルに含まれるタンパク質の刺激により、歯を支える組織細胞の再生が促進されます。
豚の歯胚から精製され、高い安全性が保証されており、世界44カ国以上で使用されています。

歯周病は完治が目指せます

歯周病は完治が目指せます将来にわたって健康な歯を保ち、快適な生活を送るためには、定期的に歯科検診を受け、メンテナンス治療を継続することが重要です。
毎日の正しい歯磨きをし、定期的なPMTC(専門家による歯のクリーニング)で、歯周病を予防することができます。
骨の減少を伴う重度の歯周病が発見された場合、再生治療により失われた骨を回復させ、歯の動揺や歯周病の炎症をほぼ完全に改善することができます。
近年、再生治療の技術は格段に向上し、成功率も高まっています。
外科手術でも、1~2時間で安全に行うことができます。
安易に抜歯してインプラント治療を行うよりも、比較的安価に自分の歯を保存することができる、非常に有効な治療法なのです。
再生治療には適応症があり、まだ完全ではありませんが、まずは診断・相談されることを強くお勧めします。
今後も日本一の笑顔を創造するためには、歯だけでなく、歯を支える骨や歯ぐきの健康や美しさを向上させる治療の重要性が高まると考えています。
道頓堀キムラ歯科では、歯ぐきを整え、再生させることで、美しい笑顔を維持することを心がけています。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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