歯のコラム

【歯科医師が解説】子供の歯医者メンテナンス完全ガイド|虫歯・歯並び予防で後悔しないために


こんにちは。道頓堀キムラ歯科クリニックの院長の木村沢郎です。

お子様のはじめての歯医者さん、いわゆる「歯医者さんデビュー」を控え、期待と同時に少しの不安を感じていらっしゃる親御さんも多いのではないでしょうか。私自身、3人の子供を育てる父親として、そして多くの子供たちの診療に携わってきた歯科医師として、そのお気持ちは痛いほどよく分かります。

実は、子供の歯は私たちが思う以上にデリケートです。大人の歯よりも柔らかく、痛みを感じにくいまま虫歯があっという間に広がってしまうことも少なくありません。毎日一生懸命仕上げ磨きをしていても、それだけでは防ぎきれないことがあるのです。「我が子には、歯のことで苦労してほしくない」と願うからこそ、信頼できる歯医者さんでの定期的なメンテナンスが、お子様の将来の健康を守るための何よりのプレゼントになります。

この記事では、なぜ子供に歯医者のメンテナンスが必要なのか、具体的に何を行うのか、そしてお子様が笑顔で通い続けられる歯医者さん選びのコツまで、分かりやすくお伝えしていきます。


大切なお子様を、痛い思いをする前に歯医者さんに連れて行くことに、少し戸惑いを感じるかもしれません。しかし、子供のお口の中は、大人が考える以上にめまぐるしく変化しており、プロによる定期的なチェックが不可欠です。ここでは、なぜ子供の歯のメンテナンスが重要なのか、その主な理由を3つご紹介します。


子供の乳歯は大人の永久歯に比べて表面の硬い層(エナメル質)が薄く、非常に柔らかいという特徴があります。そのため、一度虫歯になってしまうと、驚くほど速いスピードで進行し、気付いた時には神経の近くまで虫歯が達しているケースも珍しくありません。また、生え変わったばかりの永久歯もまだ完全に硬くなっておらず、虫歯への抵抗力が弱い状態です。歯磨きでは届きにくい奥歯の溝を歯科用の材料で埋める「シーラント」という処置をしたりすることで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。

子供時代は歯の生え変わりと顎の成長が著しいため、歯並びが大きく変化します。

歯並びが乱れる原因に対して、早期の対策を行うことで、歯並びが改善したり、将来的な本格的な矯正治療の負担を軽減することにも繋がる場合があります。

指しゃぶりや口呼吸、舌を前に出す癖、飲み込み方の異常などの「お口の機能の発達の遅れ(小児口腔機能発達不全症)」の兆候がある場合は、お口の筋肉を鍛える訓練(MFT:口腔筋機能療法)でその癖を取り除くことで歯並びが良くなる場合があります。改善が難しい場合は、パナシールドやプレオルソ 、床矯正やリンガルアーチなどの矯正装置を用いることがあります。

歯の並ぶスペースに対して永久歯が大きい場合には、歯が並ぶスペースを広げる矯正(拡大矯正)や歯を抜く抜歯矯正治療を行う事で、健全な歯並びを目指します。本来永久歯が生えてくる場所に生えてこない場合は、永久歯がもともと作られていない「先欠」や永久歯が骨の中に埋まって生えてこない場合があります。先欠の場合は矯正治療でスペースを閉じたり、埋まっている永久歯を矯正的に引っ張ることで対応します。

メンテナンスに通うことでこのような歯並びを乱す原因を早期発見し、必要な時期に早期に対策を行うことが、必要な時期に早めに対策を行うことが、お子様の健全なお口の機能の発育と健康なお口の環境を守るために大切です。


多くのお子様が歯医者を怖がる原因は、過去の「痛かった」「怖かった」という記憶にあります。しかし、虫歯ができる前からメンテナンスで通院を始めていれば、治療ではなく、お口の掃除や歯磨きの練習といった楽しい経験からスタートできます。診療用の椅子に座る練習から始め、少しずつ器具に触れてもらうなど、お子様のペースに合わせて慣れていくことで、「歯医者さんは歯をきれいにしてくれる安心できる場所」というポジティブなイメージを育むことができます。この最初の体験が、お子様が生涯にわたって自分のお口の健康に関心を持つための大切な第一歩となるのです。


子供の歯医者メンテナンス、具体的に何をするの?


「メンテナンスって、具体的にどんなことをするんだろう?」と疑問に思われる親御さんもいらっしゃると思います。子供のメンテナンスは、単に虫歯がないかチェックするだけではありません。お子様一人ひとりの虫歯のリスクや歯磨きの上手さ、歯並びや生活習慣に合わせた、将来を見据えた様々なケアを行います。


歯磨き指導と仕上げ磨きサポート

子供さん自身が正しい歯磨きの方法を身につけることは、とても重要です。忙しいご両親が子供さんに正しいブラッシング方法を教えることは、、現実問題としてムズカしいかもしれません。子供さんのメンテナンスでは、正しいブラッシングを自分でできるようにする事を大切にします。来院のたびに歯の染め出しを行い、磨き残しを子供さんに確認してもらいます。歯科衛生士が、お子さんの年齢や手の発達に合わせた歯ブラシの持ち方や動かし方を指導します。

毎日頑張っていらっしゃるご両親のために、仕上げ磨きのコツや嫌がる時の対処法なども具体的にお伝えし、親子で楽しくケアに取り組めるようサポートします。

ブラッシング指導
磨き残し
染め出し


歯科衛生士によるクリーニングと予防処置


毎日の歯磨きではどうしても落としきれない歯石や歯垢(プラーク)を専門の器具を使ってきれいに取り除きます。クリーニングで綺麗になった歯の表面に高濃度のフッ素を塗布することで、フッ素が歯に取り込まれ、虫歯の酸に溶けにくい強い歯を作ることができます。また、虫歯になりやすい奥歯の溝に対して、フッ素を配合した樹脂であらかじめフタをする「シーラント」という処置を行い、虫歯予防を行います。


問題の早期発見のために、定期的なレントゲン撮影

子供の虫歯は進行が早いため、見た目で虫歯の穴が分からなくても、歯と歯の間から虫歯が進行している場合が多くあります。そのような虫歯を早期発見しやすいレントゲン撮影があります。咬翼法(バイトウィング)という歯を真横から撮影するレントゲンで、リスクの高い子供さんに対して半年に一度撮影を行い虫歯の早期発見を行います。

永久歯が生え変わる時期では、パノラマレントゲンという顎全体を撮影するレントゲンを1年に一度撮影します。顎の中に隠れている永久歯の数や位置、左右差、虫歯などの確認を行います。永久歯の生え変わりを邪魔しているものがある場合は、早期に対策を行う事で正常な生え変わりにつながる場合があります。それが難しい場合は、埋まっている大人の歯を矯正装置で引っ張り上げる場合もあります。

虫歯や歯並びを確認するためにも、子供時代の定期的なレントゲン撮影は大切です。

咬翼法 バイトウィング
レントゲン写真
虫歯 早期発見
パノラマレントゲン写真
後継永久歯
虫歯
発見


 子供の歯医者メンテナンスはいつから、どのくらいの頻度で通ったらいい?


お子様の歯を守るためのメンテナンス、いざ始めようと思っても「いつから行けばいいの?」「どれくらいのペースで通うの?」と迷いますよね。メンテナンスを始める最適なタイミングと、推奨される通院頻度についてお話をします。

理想を言えば、お母様が妊娠中の「マタニティ歯科」から始めるのがベストですが、お子様自身のメンテナンスは、下の前歯が初めて生えてくる生後6ヶ月頃から始めることができます。この時期は治療というよりも、まずはお子様のお口の状態を確認し、お母様にガーゼでの拭き方や仕上げ磨きの方法をお伝えすることが中心になります。まずはお子様が歯医者さんの雰囲気に慣れ、定期的に通院することが当たり前の習慣を作ることが大切です。

一般的な通院間隔は3~4ヶ月ごとですが、虫歯リスクなどどによって通院間隔を伸ばす場合や短くする場合もあります。


まとめ:子供の歯医者メンテナンスは未来への投資

子供の歯の健康を守ることは、単に虫歯を防ぐという目的だけではありません。笑顔で食事を楽しみ、自信を持って大きな口を開けて笑える、子供の明るい未来への大切な投資といえます。 大切な子供さんを安心して任せることができる歯医者さんに出会えるかどうかが、とても大切です。

今回のお話が、お母さん、お父さんにとって安心できる歯医者さん選びの手助けになれば幸いです。

長文お付き合いいただきありがとうございました。

道頓堀キムラ歯科クリニック 院長 木村沢郎

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