
こんにちは。道頓堀キムラ歯科クリニックの院長の木村沢郎です。
今年の梅雨明けは例年よりも早くて、いつもよりも夏を早く感じる毎日ですね。うちの家庭菜園でも、夏野菜が採れる時期になってきました。
最近のオススメは、こどもピーマン「ピー太郎」‼️
普通の苦いピーマンは僕が好きなので栽培していますが、ピーマンが苦手な次男用に苦味が少ない、こどもピーマンも栽培しています。店頭での販売が少ない珍しい野菜は、家庭菜園がいいですね♪

今回は大切な歯を守るために重要な、メンテナンスで通う歯医者さんの選び方についてお話をしたいと思います。
定期的に歯医者さんのメンテナンスに行かれていますか?
歯のメンテナンスは、虫歯や歯周病で歯が悪くなることを予防するために非常に重要です。
しかし、当院に来られる患者さんの中には、
「歯医者さんで虫歯が不安なんですと伝えたのに、大丈夫ですとしか言われませんでした」
「先月歯医者さんでメンテナンスをしたのに、虫歯が6個もあると動画で教えてもらってショックです」
「定期的に歯のクリーニングで通っていますが、歯周病治療の治療について教えてもらったことがありませんでした」
「奥歯の違和感は様子見と言われていて、どれほど悪いかについて教えてもらえませんでした」
とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
残念ながら虫歯の見落としや、適切な歯周病治療が行われない状態でのメンテナンスへの移行、症状のある根尖性歯周炎の放置など、かかりつけの歯医者さんが早期に発見・治療をしてくれれば良かったのにと思うことがよくあります。
そんな方は、メンテナンスで通う歯医者さんをしっかりと選ぶことで、歯の寿命を延ばせるかもしれません❗️
メンテナンスはどの歯医者さんでも一緒?
歯医者さんのメンテナンスで重要なことは、歯を失う原因の
1位の「歯周病」予防・治療と、
2位の「虫歯」予防と早期発見、
3位の「破折」のリスクを下げる力のコントロール
これを全て対応できる歯医者さんを選ぶことが非常に重要です。(第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書 8020推進財団 2018.より)

一つずつ説明していきたいと思います。
「歯周病」の予防・治療としてのメンテナンス
歯周病予防のための歯医者さん選びのポイントは、その歯医者者さんが専門的な歯周病治療を行っているかどうかが大切です。
具体的には次の3つがポイントになります。
①現在の歯周病の状態をしっかりと説明してくれること
②歯周病の場合は、歯周病の状態に合わせた治療を行なってくれること
③患者さんごとの歯周病リスクに合わせたメンテナンス間隔を提案してくれること
①歯周病の診断をしっかりと説明してくれること
患者さんの状態が「歯肉炎」か「歯周病」かによって、メンテナンスで注意する部分やメンテナンス間隔、治療方法が変わってきます。
まずは、患者さんの歯周病の有無や歯周病の状態を診断し、丁寧に説明してくれる歯医者さんを選ぶことが大切です。
顎の骨の状態は、レントゲンや歯茎の隙間を計測する「ポケット検査」から分かります。
写真やレントゲン、歯周病の模型などを使って、あなたに歯周病があるかどうか、あるならどの程度進んでいるのかについて、分かりやすい説明をしてくれることが大切です。
②歯周病の場合は、歯周病の状態に合わせた治療を行なってくれること
歯周病と診断された場合は、その状態に合わせた治療について提案を行います。
歯周病の状態によって、歯周病治療の方法は異なります。
歯茎の腫れや出血だけの「歯肉炎」なら、細菌の塊であるプラークを除去するだけで、ある程度改善します。毎日汚れるところに細菌が残り続けるので、ブラッシングの質を上げると「歯肉炎」が改善します。
歯ブラシでは取りきれない、硬くなった歯石や汚れは歯医者さんで取り除きますが、「歯肉炎」の基本的な治療は「ブラッシング」の質を高くすることです。
歯周病が進むと、歯茎の中にまで歯石が侵入します。その歯石の上に歯周病原細菌が住み着き、毒素を作り続けることでより歯周病が進んでいきます。
ブラッシングの質を上げて、歯茎から出血が出ない状態を作った後に、その歯茎の中の歯石を取っていくことが、歯周病治療の最初のステップになります。
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)と呼ばれる治療を歯科衛生士さんが中心となって行なっていきます。保険治療で行うことができる治療なので金銭的な負担は少ないですが、価値ある治療です。
歯茎の状態を確認しながら、それでも出血が続く部分や歯石が歯茎の奥底に残っている場合には、フラップ手術と呼ばれる歯周外科を行う場合があります。
歯周組織再生療法も、歯周外科の一つになります。
歯周病リスクが高い方は、歯周病治療の選択肢を持っている歯医者さんをメンテナンス選びの一つの基準としてもらうといいと思います。
③患者さんごとの歯周病リスクに合わせたメンテナンス間隔を提案してくれること
全ての人にとって、3ヶ月ごとのクリーニングがベストとは限りません。
セルフケアの質が高くて歯周病リスクの少ない方は、メンテナンス間隔はもっと長くて問題ありません。
逆に歯周病リスクの高い方は、1ヶ月ごとにメンテナンスを行うことが大切な場合もあります。
患者さんのリスクによってメンテナンス間隔を提案してくれる歯医者さんが歯周病をしっかりと診てくれる歯医者さんと思います。
「虫歯」予防と早期発見
「先月メンテナンスで虫歯がないと言われたのに・・・」
「歯がしみるので診てもらたら、様子を診ましょうと言われました」
そんな方の診察をすると多くの場合、虫歯が隠れていることがあります。
小さい虫歯なら良いのですが、大きな虫歯も気付かれていないこともあります。

虫歯を発見できない歯医者さんは、残念ながら多いようです。
特に歯と歯の間の虫歯の見逃しが多い気がします。
この左側のマイクロスコープで撮影した写真でも、虫歯が発見できます。
歯の横から虫歯が出来てくることが多いのですが、初期の虫歯では黒い虫歯が透けて見えるため、白い歯が曇って見えます。

他の虫歯の早期発見の方法として、歯を真横から撮影する「咬翼法(バイトウイング法)」で発見できる場合があります。歯と歯の隣り合う隣接面の虫歯を発見するのに有効な部分的なレントゲン撮影です。
全体的な虫歯のリスクを診断し、患者さんの口腔内を拡大鏡とマイクロスコープ、部分的な歯のレントゲン(咬翼法)などで診察することで虫歯の早期発見、早期治療が可能になります。
「破折」のリスクを下げる力のコントロール
一般的には食事の時に歯に強い力がかかると思われていますが、実際には食事の時よりも大きな力がかかる時があります。
それは、寝ている時の「食いしばり」と「歯ぎしり」です。
人によって「食いしばり」や「歯ぎしり」の程度は差があります。
「家族に歯ぎしりをしてると指摘される」
「起きた時にアゴがだるい、肩こりがひどい」
「奥歯が噛むと痛い時がある」
「知覚過敏が強い」
などの自覚がある人は、他の方よりも食いしばり、歯ぎしりが強い可能性があります。
そのような方は、口蓋隆起や下顎隆起を認めたり、歯を支えている骨が分厚くなっていたり、エラが張っていたり、頬粘膜や舌に歯の跡がついていたりすることがあります。
それらの所見や歯の削れ方、顎の状態を診察し、患者さんごとに力のリスクを診断することが、歯の破折のリスクを下げるために大切です。
具体的な対策として、
①上顎のハードスプリント(柔らかいものでは意味がない)
②神経を除去している歯に対して、セラミックの被せ物(過大が力がかかったら、歯ではなくセラミックが割れるため)
③咬筋に対してボトックス治療を定期的に行う
などの方法があります。

詳しくは、今後のブログの中でお話をしていきたいと思います。
・リスクが少ない方は通い歯医者さんをオススメします
今回は、歯を残すための歯医者さん選びのポイントとして、メンテナンスでの歯医者さん選びのポイントについてお話をしました。
虫歯にかかったことがない人や、歯周病リスクが少ない方、フロスや歯間ブラシなどの補助器具もしっかりと使用されている人、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりがほとんどない人は、歯を失うリスクが少ないと言えます。
そのような方はどんな歯医者さんでメンテナンスを行っても、あまり歯で苦労することは少ないかもしれません。
その場合は、近くて通いやすい歯医者さんを優先して選んでもらうといいかもしれませんね。
今回のお話は、虫歯や歯周病、力のリスクが高い方に是非聞いてほしいお話でした。
そのような方は、歯を失うリスクである、「歯周病」予防・治療と、「虫歯」予防と早期発見、歯の「破折」のリスクを下げる力のコントロールが得意な歯医者さんを選ぶことが非常に重要です!
長文お付き合いいただき、ありがとうございました。
道頓堀キムラ歯科クリニック
院長 木村沢郎