歯のコラム

【歯の痛みが強い時に必見!!】痛みが少なく、負担が少ない特別な治療法


(歯医者さんの麻酔の痛みを最小限に抑える方法Part5)

こんにちは。

御堂筋にある吉野家道頓堀難波店のある交差点より徒歩1分、道頓堀川沿いにある「道頓堀キムラ歯科クリニック」の院長の木村沢郎(キムラサワオ)です。

前回は、急性歯髄炎で痛みが強い場合に用いる麻酔法についてお話をしました。

今回は、もう一つの歯の激痛の一つの「急性根尖性歯周炎」の治療についてお話をしていきたいと思います。


「調子が悪い時に噛んだら痛かった歯が、急に強く痛み出した」

「ズキンズキンと痛くて、夜も眠れない!」

「痛み止めでも痛みが全然治らない!」

「昔痛かった虫歯を放っておいたら痛くなくなったのに、急に前よりも痛くなった」などの経験がある人は、

「急性根尖性歯周炎」

かもしれません。

歯科の中で一番痛みが強い病気は??

歯科の主な病気の中で一番痛みが強い病気は、「急性根尖性歯周炎」と言われています。

この痛みはかなり強烈で、激痛により顔半分に痛みが広がったり、痛い場所がどこか分からなくほど強い痛みを感じる人、市販の痛み止めを飲んでも痛みが治まらず、夜も寝れない人も多くいます。

・「過去に歯の根の治療をしたことがある」

・「調子が悪い時に痛みむことがあった」

・「噛んだら時に違和感や痛みがあったが放置している」

・「急にズキズキ痛みが出てきた」

この様な経験がある人は、「急性根尖性歯周炎」になる可能性があります。

「急性根尖性歯周炎」って、どんな病気ですか?

『根尖性歯周炎』とは、虫歯などにより歯の内部の歯髄に細菌が感染し、さらに歯の根の先の周囲の組織に炎症が広がっている状態をいいます。

虫歯が大きい場合は、多くは虫歯などの細菌の酸や毒素により、歯髄に炎症が起こり歯髄が死んでいきます。

それを放置すると歯髄が腐り、根の先の小さい穴(根尖孔)か顎の骨にたどり着き、そこで少しずつ細菌が増殖していきます。=慢性根尖性歯周炎

この細菌は普段は免疫で抑えられていますが、風邪などで免疫が下がった時に菌が増殖し、膿がたまることで痛みが出てきます。

軽度の炎症の場合は噛んだ時に違和感を感じる程度ですが、この状態を放置していると炎症が急性化して急に強い痛みが出てくることがあります。=急性根尖性歯周炎

この痛みは「ズキンズキン」と強く痛み、市販の痛み止めでは抑えることが難しくなるほど強いものになる時があります。

この様に痛みの限界を超えてから歯科医院に来院された場合に、治療をすることはお勧めしません。

「急性根尖性歯周炎」の治療のポイント

痛みが強く出ている時の治療法や適切な麻酔の方法を選べるかどうかが、大きなポイントになります。

①かなり強い麻酔をして、時間をかけて内部の膿をしっかりと吸いだす。

②噛み合わせを落として、抗菌薬と鎮痛薬で急性炎症が落ち着いてから、根管治療を行う。

この2つの方法以外は、お勧めしません!!

なぜでしょうか?

「治療する前よりも痛みや腫れがより悪化する」ことが非常に多いからです

一般的に行われることが多い治療は、①を中途半端にしたものが多いようです。

①急に痛みが出てきたので、歯医者さんに急患で受診する

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②急な予約なので、治療時間を確保できないので、短い時間の診療になる

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③炎症が急性化しているので、麻酔が効きにくい

2023/02/02 歯医者さんの麻酔で痛みを抑える方法 Part3に詳しい記事を書いています)

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④麻酔が効いていない状態で、歯を削るので激痛を感じる

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⑤治療時間も短く、痛みが強いので、途中で治療を諦める

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⑥痛い歯を刺激した分、余計に炎症が悪化する

この様な治療を過去に受けた方は、

「麻酔が効かないのに無理やり治療された」

「二度と歯医者さんに行きたくない」

と思う方がたくさんいらっしゃいます。

どうしても治療をする場合は、

①特別な麻酔方法を使う

(ブログ 2023/02/23どうしても麻酔を効かせたい時の特別な麻酔方法 を参考にされてください)

②治療時間を十分にとる

この二つが揃う場合は、治療に介入してもいいと思います。

絶対知っておいて欲しい!!痛みが少なく、負担が少ない特別な治療法

個人的には、②の「噛み合わせを落として、抗菌薬と鎮痛薬で急性炎症が落ち着いてから、根管治療を行う。」を強くお勧めします。

具体的には、

①痛みが強い歯の噛み合わせを大きく削る(銀歯が多いです)

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②抗菌薬と鎮痛薬を処方する。特に特別な鎮痛薬の飲み方をしてもらう

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③急性状態が落ちつくのを1週間前後待つ(大体2、3日程度で落ち着いてきます)

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④強い痛みが引いてから、歯の根の治療をしっかりと行う

以上です。

歯を削る時には、麻酔をしなくても大丈夫です。

痛みが出ている歯を指でしっかりと押さえて、振動が伝わらない様に削るとほとんど痛みを感じません。5分程度で終わります。

痛みに非常に敏感な方の場合は、噛み合う反対側の歯に銀歯があれば、その銀歯の部分だけを削ります。

ポイントは、「激しい治療をしないこと」です。


『特別な鎮痛薬の飲み方』って何ですか?

「歯医者さんでもらった痛み止めが効かない」、「薬局の痛み止めを飲んでも痛い」と言われる方に多く出会います。

症状に合わせた適切な鎮痛剤を使うことで、ほとんどの方が痛みをコントロールすることが可能です。

研修医中での医科の研修を通して、薬の使い方を多く学びました。

その経験から、歯医者さんで処方されるお薬の使い方に疑問を感じることが多くあります。(抗菌薬については、今後ブログでお話をしたいと思います)

痛みが強いので、ボルタレン(ジクロフェエナクナトリウム)と胃潰瘍の副作用があるので胃薬と一緒に処方されている場合がありますが、痛みが強い場合は一時的にしか効果がない様です。

患者様の症状や原因によって変わりますが、当院では痛みが強い場合は「カロナール(アセトアミノフェン)」と「ロキソニン(NSADS)」を併用して用います。

この使い方は、「歯科の痛みに対するNSAIDsとアセトアミノフェンを併用するの効果を調べた論文(Elzaki W M et al.:J Endod. 42(6),835,2016.より)」、や「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」の軽度の痛み対して記載されている、医科では一般的な方法です。

高用量を長期間服用しても重篤な副作用が少ない、「カロナール(アセトアミノフェン)」をベースの鎮痛薬として使用します。

副作用の少ない、「カロナール(アセトアミノフェン)」で脳(視床と大脳皮質)で感じる痛みの域値を高めることで痛みを感じにくい状態を作り、頓服として抗炎症作用のあるNSAIDsである「ロキソニン」を併用します。

この鎮痛剤の処方で、ほとんどの方は痛みをコントロールすることができます。

この処方で強い副作用が出ることは少ないですが、全身状態をしっかりと把握することができる歯科医師、またはかかりつけ医師と綿密な連携が取ることができる歯科医院での診察をお勧め致します。

なんで、痛い歯を削ると痛みが落ち着くのですか?

「急性根尖性歯周炎」では、歯の根の先の「根尖」で細菌が急激に増加することで、膿などがたまり、神経を圧迫することで強い痛みが現れます。

根の先が膿んでくると、歯が上に持ち上がる力がかかります。

少し歯が浮いてくると、元から痛い歯をより強く噛むことになるので、

刺激が強くなり痛みが悪化していきます。

ひどい場合は、痛んでいる歯しか噛まないぐらいに浮き上がってくることがあります。

その浮いてきた歯を削ることで、噛んだ時にあたらなくするだけで痛みが大きく改善します。

でも、後日により歯が浮いてきて、また噛んだら当たる場合があります。

その場合は、再度削ることもあります。

動きが大きくなっている歯の場合は、食べ物が当たるだけでも痛みが出るので、横の歯と固定することで痛みを抑えることもあります。


どうして、「急性根尖性歯周炎」になったのですか?

「急性根尖性歯周炎」の歯は、過去に歯の根の治療をしたことがある場合がほとんどです。

根の治療をしたのに、なぜ悪くなるのでしょうか?

それは、歯の根の治療をした時に歯の内部に菌が侵入しているからです。

ラバーダム(ゴムのシート)を行い唾液が入らない環境で、

CTで3次元的に歯の根の形を把握し、

Ni-Tiファイル(ニッケルチタンファイル)などの曲がっている歯の根の形を追従することができる器具で、

(マイクロスコープを用いて)拡大視野で、

バイオセラミック系シーラーを用いて、

緊密に根管治療を行うことが必須になります。

一度、根管内(歯の根の内部)に侵入した菌を完全に取り除くことは不可能です。

つまり、最初の根の治療を出来るだけ無菌的に治療ができるかどうかが重要になります。

次回は、そのうちの一つのラバーダムについてお話をしたいと思います。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

道頓堀キムラ歯科クリニック

院長 木村沢郎

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